お月さまをさがして
きみは誰のこ
あのこ、月の子
お腹に太陽かくしてる。
ぼくは誰のこ
このこ、月の子
目玉の中をのぞいてごらん。
ある静かなビードロの晩、
空にのぼったお月様は、その体がちょうど天井の真ん中までくると、
ハタリと姿を消してしまった。
ぼくは息をひそめて空を見上げた
お月さまはいったいどこにいったの?
ぼくはお月さまをさがして、旅に出ることにした。
あたりは鮮やかなビー玉の海。
ビー玉の海をぼくは泳ぐ。
ひんやりとした感触は、お月さまの青い光とおんなじ!
お月さまは海にもぐってしまったの?
ビー玉の海をぼくは潜る。
海の底から聞こえてくるのは、ぶくぶくぽわん。
お月さまの息の音。
大きな泡が生まれては、虹色の光が反射する。
ぼくは大きく息を吸った。
みるみる泡は大きくなって、ぼくの体をのみこんだ!
ぶくぶくぽわん。
ぷかぷかぴしゃん。
あったかーい、泡の中。
これはきっと
おなかの中。
やわらかーい、泡の壁。
お月さまとつながってる。
ぼくは目を閉じて、ビー玉の波にゆられる。
ゆっくりゆっくり、
ぷかぷか。ふわふわ。
目をあけたとき、遠くの方で小さな光が見えた。
お月さまの光だ!
やっとみつけた
お月さまの光だ!
ぼくはその光をめざして、ゆっくりゆっくり海をのぼっていった。
ゆっくり、ゆっくり。
ぷかぷか、ふわふわ。
そして、
ぼくはセカイにうまれてきたんだ。